【書評】キャズム

もうキャズム2が発売されてしまっているので、

ものすごく『今さら感』がぬぐえませんが書評なんぞをしてみようと思います。

私も勤め人の身なので、『今どきキャズムですか?課題本なんだから、グロースハックとかにしましょうよ』などと言ってしまった日には窓際から飛び降りるハメになるので、ネタが古い点はどうかご容赦下さいまし。

本の概要

『プロダクトやサービスをリリースするにあたり、客層別に価値観や購買動機が大きく変化するキャズム(溝)が存在しますよ』と言うお話。

それらの客層とは、

イノベイター(変革者) ・・・ 別名:テクノロジーマニア

アーリーアダプター・・・別名:ビジョナリー

アーリーマジョリティー・・・別名:実利主義者

レイトマジョリティー・・・別名:保守派

ラガード・・・別名:懐疑派

に分類されます。それぞれの客層に応じて基準となる価値観が違いますので、新しい製品を見た時の反応にも違いが出ます。ただし本書の作者がアメリカの人であるという点を踏まえると、アメリカ市場と日本市場では顧客層に国民性等に基づいた違いがあると考えた方が良い様に思います。

 

そもそもキャズム(溝)とは何か?

このグラフがメチャクチャ有名ですが、

chasm

【出展:情報システム用語辞典

『新し物好きなミーハー層と実用主義な人たち、保守的な人たちの間で意識や価値観が異なりますので、違うマーケティング手法や販売手法でリーチしていかないとダメですよ』と言う事になります。

特にアーリーアダプター層とアーリーマジョリティー層の間の溝は大きく、ここを超えられるかどうかが、製品と企業の運命を大きく左右します。

近頃、迷走気味なWindowsなんかがわかりやすいですね。私はこのOSに関してはSP2が出たあたりで買うと決めている、『アーリーマジョリティー~レイトマジョリティー層』に位置します。

私の購入時期を見てみますと、

Windows XP ⇒SP2提供後にPCと共に買い替え

Windows Vista ⇒やばい予感がしたので、当時の部下のPCを実験台にした結果、私の購入は見送り(ゲス顔)

Windows 7 ⇒さすがにXP時代のPCでは息切れしていたので、発売早期に購入

Windows 8 ⇒これはウインドウズではなく、タイルズなのでパス(笑)

Windows 10 ⇒ベータ版を見る限り、たぶん早期に買うでしょう。

 

購入タイミングや選定理由を見ても、他の会社のエンジニアの話を聞く限りはそこそこベターなタイミングで買っている部類だと思ってます。

買う早さとケガの少ない購入タイミングって、実際こんな感じだったんじゃないかと思います。(なんで私がマイクロソフトのバグだしに付き合わなきゃならんのだ?)

 

世界的に見ると、日本市場は1年分くらい遅れている?

これは去年にシリコンバレーに行った時に聞いた話ですが、アメリカのシリコンバレーを中心としたITベンチャーで新たな製品が開発された場合、最初のα版またはβ版がリリースされるのは当然アメリカ市場です。

アメリカ国内である程度の顧客基盤を確保すると、VCの支援を受けるなどしながら世界進出を考えるワケですが、アメリカのITベンチャーが世界進出を考える場合は以下の進出ルートを取るのがメジャーになりつつあるらしいです。

アメリカ ⇒ EU(欧州) ⇒ 中国 ⇒日本 

マイクロソフトやAppleの様な世界規模の企業は世界同時リリースが出来ますが、そうでない企業の場合はリージョン別の進出ルートを通過しながら市場を開拓していきます。

どうしてこの順番でのルートになるかと言うと、以下の2点が大きなポイントになります。

1.言語ローカライズの問題 (英語圏でのリリースならローカライズは不要)

2.市場人口の問題(将来マーケットが大きいところが優先)

日本はどう見られているかと言うと、

『保守的(クオリティに非常にシビア)なので、製品がある程度枯れてきてから良い』、

『人口が減ってきている』

と言う点から、スルーはされないものの『後回しで良い』層であると見られる傾向があるようです。(言われてみると、非常に正しいと思う)

日本市場って世界市場の中で見ると、確かにレイトマジョリティになりますね。(発売と同時に飛びつくのは信者くらいのものです)

 

キャズムは会社内にも存在する

次に法人営業に置き換えてみても、ここにもキャズム(溝)を垣間見ることが出来ます。特に日本は組織が大きくなるほど、『選定者』と『決裁者』が分離・階層化しています。

1回目の提案で『選定者』のハートをガッチリ掴んでも、その後の『決裁者』の購買意欲を掴めないとまずアウトです。

製品を売りに行く場合どころか、自分の会社の社内システムですら計画と予算承認を受けるのにいくつもの深いキャズムを超えなければならない場合も多くあります。

 

日本で非常に良くありがちな、

ITリテラシーがちょっとアレな感じの深いキャズムを発見した場合、

大抵モノを言うのは『ブランド力』と『コネ』だったりします。(小声)

詳しく解説はしませんが、おおよそ間違ってないと思います。(たぶんね)

 

ABOUTこの記事をかいた人

櫻井智行

ネットワーク・サーバー系のフリーのインフラエンジニア。得意分野はデータベース・ネットワーク・負荷分散あたりです。30歳の頃に独立しましたが、それまでに巻き込まれた様々なデスマーチと火消しの実績からトラブルシュート案件ばかりが依頼される様に・・・。 ビットクリア設立後は趣味の炎上・デスマーチ観察を軸にデスマーチソムリエとして小田原市・東京を中心にグローバルに活動中。